絶望

2006年5月24日 小説
 誰かに誉められたくて書き始めたわけではないし。
 誰かに勝ちたくて書き始めたわけじゃない。

 でもね、誰かに誉められてしまった、し。
 勝ってもしまったんだな。過去のいつかにたぶん誰かに。

 できることなら純真無垢でありたかった。
 ならばひとりで書くべきだったんだ。
 誰かと、なんて幻想は捨てるべきだった。
 私はもっと孤独でいたほうが、よかった。

 もっとやわらかく柔軟になるべきだったんだろうか。
 こんなにも生きる力を傾けた、このやりかたは
 間違いだったのかな。
 私はかたくなだったのではないだろうか。

 願いに祈り、信念さえ掲げれば未来は開けると思っていた。
 けれど今どうだ。本当に道は、開けているのだろうか。
 一寸先は闇だ。この先があるのか、誰も教えてはくれない。

 私はたとえば、書くために全てを捨てられるだろうか。

 私はたとえば、消えない幻を追い求めただけだったのだろうか。

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